在宅ケアサービスが重視されており、高齢者ができるだけ長く自宅に留まることを可能にしています。在宅ケアには、日常生活のサポート、医療サービス、介護スタッフなどによるサポートが含まれます。また、安全性とアクセシビリティを向上させるために、場合によっては家の改造が推奨され、その改造費は通常自治体によって賄われます。

デジタルツールやシステムの導入が高齢者の自宅での安心した生活を可能にしたひとつの理由です。電子健康記録により医療従事者はリアルタイムで患者の情報にアクセスし、遠隔医療コミュニケーションやヘルスモニタリングデバイス（血圧・心拍・血統計等）を通じて高齢者の健康状態をモニタリング。スマートホームテクノロジー（例：センサーで異常が検知されると自動的にアラートが発信される）も導入し、モバイルアプリケーションを活用して健康情報へのアクセスや医療サービスの利用を簡便化しています。これらの取り組みにより、高齢者はより効率的でアクセスしやすいケアを享受でき、生活の質が向上しています。

認知症患者など、より集中的なケアが必要な場合、特別住宅や施設ケアが利用可能です。特別住宅は通常個室です。その室内に小さなキッチン、トイレ、シャワーが備え付けられており、それぞれ居住者は自身が元々住んでいた家具を持ってきます。そうすることで安心感を得られるためです。また、皆さん写真をたくさん持ってきます。これはスウェーデンの認知症介護において高齢者の方の人生の歩みを知ることを重要視しているからです。介護スタッフは認知症高齢者を患者としてではなく、ひとりの人間として接します。

認知症介護の分野で、介護者の負担が大きいとされる、認知症の周辺症状、BPSD。様々な症状で、介護従事者や家族を精神的・身体的負担へと導いてしまいます。スウェーデン政府は、国をあげてBPSDに対応するためのシステム開発をバックアップしました。そこから開発されたシステムプログラムが、「BPSD 登録」です。「BPSD 登録」の導入により、スウェーデンの数々の認知症介護施設で、介護者の負担は軽減され、認知症患者のBPSDが落ち着いたとの報告があります。

スウェーデンは職場の健康と安全基準に強く重点を置いています。介護施設で多くの補助器具を使用する理由の一つは職員のケガやストレスによる離職のリスクを低減するためです。また、継続的なトレーニングと専門的な知識の向上のための機会が提供されることで、スキルの向上だけでなく、仕事への満足感と達成感へとつながります。